GoogleのRAG型AIノート NotebookLMを触ってみた
はじめに
GoogleがNotebookLMというサービスを出しており、活用を検討している企業が増えています。本記事では別記事(おすすめの社内資料を提示してくれるようなRAG搭載AIエージェントを作ってみた)で紹介した自前でRAGを実装した場合と比べ、NotebookLMがどれくらいの精度なのか紹介します。
NotebookLMの使い方
NotebookLMにはRAGの機能が搭載されており、アップロードした資料を元にLLMが回答してくれます。使い方は下図のようにソースに検索したい資料をアップロードして、プロンプトを投げるといったシンプルな方法です。

NotebookLMではアップロードしたファイルを元に回答を生成しますので、それ以外の情報については回答できません。例えば下図のように、「今日の渋谷区の最高気温と最低気温を教えてください」といったアップロードした情報以外について聞いてみると回答できないことがわかります。

データ
経済産業省の委託調査報告書10本
https://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html
方法
NotebookLMに調査報告書をアップロードし、プロンプトを投げて精度検証しました
結果
①プロンプト:近年の物流状況を調査するにあたり、参考資料が欲しいです。提示してください。
近年の物流状況を調査するにあたり、提供された資料の中で最も関連性が高く、詳細な分析が含まれているのは以下の2つの報告書です。
それぞれの資料がカバーしている主な調査項目と、活用すべきポイントを整理しました。
1. 日本国内の構造的課題を調査する資料
資料名:『令和2年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業 物流市場における競争環境や労働環境等に関する調査』 (作成:アクセンチュア株式会社 / 2021年3月)
この資料は、日本のトラック運送業界が抱える**「人手不足」と「低賃金」の真因**を深く掘り下げています。
• 現状分析: EC化による物流量の増加と、深刻なドライバー不足(需給インバランス)の予測。
• 構造的課題: 多重下請け構造が利益を圧迫している実態の解明。例えば、6次請けの事業者は荷主が支払った価格の約6割で受注しているケースがあることなどが指摘されています。
• 効率化策: ドライバーの肉体負荷軽減と、荷卸し時間を75%削減できる「パレット利用」の促進に向けた課題と解決策。
• 海外比較: 米国の再委託禁止制度(MAP21)など、諸外国の制度との比較。
2. グローバルな社会課題と物流技術を調査する資料
資料名:『令和3年度 内外⼀体の経済成⻑戦略構築にかかる国際経済調査事業』 (作成:EY新日本有限責任監査法人 / 2022年3月)
この資料は、新興国における**物流の質(コールドチェーン)**に関連する社会課題と、日本の技術移転の可能性についてまとめています。
• フードロス問題: 東南アジア、南アジア、東アフリカにおける「運搬」段階でのフードロスが大きな社会課題となっている現状。
• 日本の技術貢献: 現地のニーズに対し、日本が持つコールドチェーン拡大技術や冷蔵設備を備えた輸送機などの優位性。
• 価値共創: 現地企業と連携して物流インフラを構築するための「エコシステム」の重要性。
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資料活用のためのアドバイス
調査の目的に応じて、以下のように使い分けることをお勧めします。
調査の目的 重点的に参照すべき資料 国内の労働環境・賃金改善 『システム_ACN.pdf』(アクセンチュア報告書) 物流のDX・デジタル化の阻害要因 『システム_ACN.pdf』(同上:システム投資の停滞要因) 海外展開・環境配慮型物流 『調査_EY.pdf』(EY新日本報告書) これらの資料は、単なる統計データだけでなく、「なぜ効率化が進まないのか」という現場のヒアリングに基づいた構造的要因を詳しく解説しているため、深い洞察を得るための強力なリファレンスとなります。
もし、さらに特定のトピック(例:デジタルプラットフォームの活用事例や、特定の地域の物流事情など)に絞って詳しく知りたい場合は、その旨をお知らせください。
ユーザーが知りたい情報をわかりやすくまとめてくれてます。プロンプトが「調査をしたい」という抽象度高めの内容でしたが、調査の目的別に参考資料を提示してくれているため、ユーザー視点になって回答してくれていることがわかります。
②プロンプト:エネルギー事業の新規PJ提案書作成のため、類似案件資料を提示してください。資料名のリストも教えてください。
エネルギー事業の新規プロジェクト提案書作成に際して、参考となる脱炭素化(GX)のロードマップおよび産業界のエネルギー需給実態に関する2つの主要な報告書を提示します。
これらはマッキンゼーおよびデロイトによって作成された官公庁(経済産業省・資源エネルギー庁)向けの調査結果であり、事業の妥当性や背景説明に役立つデータが豊富に含まれています。
1. 日本の脱炭素化への道筋(マッキンゼー報告書)
この資料は、2030年から2050年にかけての脱炭素化目標を、最もコスト効率的に達成するためのシナリオ分析を行っています。
• 技術導入のフェーズ: 2030年までは従来技術よりコスト優位な脱炭素化技術が多いものの、2050年に向けては**水素やCCS(二酸化炭素回収・貯留)**などの高コストな技術導入が必要になり、社会全体のコストが増大すると予測されています。
• 事業成長の機会: 脱炭素化を産業競争力強化につなげるためには、市場変化を捉えた大胆なポートフォリオ変革が不可欠であり、日本企業における変革の重要性が説かれています,。
• 国際比較: 欧州と比較した場合、2030年までは同程度のコストで目標達成が可能ですが、2050年時点では日本の方が高コストになる見込みです。
2. エネルギー需給構造と産業別の課題(デロイト報告書)
この資料は、特にエネルギー多消費産業(鉄鋼、化学、セメント、製紙など)の熱需要の実態と、脱炭素化への技術的な障壁を詳細に分析しています。
• 重点技術トレンド: 1000℃以上の高温帯を必要とする工程において、水素利用やプラズマ溶融などによる脱炭素エネルギーへの移行技術開発が国内ですでに着手されています,。
• 共通課題: 業種を問わず、電化技術の開発、水素の供給量確保、CCUSの環境整備が重要課題として挙げられています。
• コスト構造の現状: 日本の産業部門におけるガス・電力価格は海外より高水準であり、2030年の目標達成には数兆円規模の再エネ設備および統合コストが必要と試算されています,。
• 価格転嫁の難しさ: 素材産業は製造コストに占めるエネルギーコストの割合が高く、付加価値率の低さから、川下産業への価格転嫁が困難な可能性があると指摘されています。
3. 日本と欧州の戦略・政策支援の比較
提案書の「背景」や「市場分析」を記載する際、欧州との比較データが有効です。
項目 欧州の動向 日本の現状・示唆, 目標の捉え方 政府目標を前提に達成方法を議論 自主的な取り組みで進んでいる部分も大きい 政策支援 資金支援、インフラ構築、コスト補填 官民ファンドの組成や市場ルール整備を検討中 エネルギー価格 日本より低水準 海外より高水準で、将来的な上昇リスクあり --------------------------------------------------------------------------------
資料名リスト
提案書作成の際に引用・参照すべき資料名は以下の通りです。
1. グリーントランスフォーメーション推進小委員会発表資料「日本の脱炭素化への道筋」(2022年3月23日、マッキンゼー・アンド・カンパニー作成)
2. 令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業「脱炭素化が産業活動へ与える影響に関する分析・調査支援事業調査報告書」(デロイト トーマツ コンサルティング作成)
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提案書をより具体化するための質問: 今回検討されているエネルギー事業は、具体的にどの領域をターゲットにされていますか?
• インフラ供給: 水素、再エネ、CO2供給網などの物理的な基盤
• 技術実装: 特定の製造プロセス(鉄鋼・化学など)の電化や燃料転換
• 制度・市場: 排出量取引や官民ファンド、価格転嫁の仕組みづくり
ターゲットが明確であれば、さらに具体的な技術的な壁や支援策についての詳細を特定して提供することが可能です。
参考資料についてわかりやすく回答してくれてます。また、提案書作成向けのアイデア(日本と欧州の比較)も提示してくれており、ユーザーの立場を立った回答内容になっていることがわかります。
おわりに
NotebookLMではアップロードした資料について、自前でRAGを実装した場合と同じように資料検索できることがわかりました。特に、ユーザー視点になって回答されることが特徴的でした。NotebookLMを使えば、資料検索の効率化が図れそうですね!
